ビニールハウスで養蚕をしている農家の2年生の息子いさむは、夏になるたび頻繁にやってくる雷が大嫌いであり、雷が嫌いな弱虫の自分も嫌いであった。
ある日、やはり突然の夕立に見舞われ、誰もいない家に戻ったいさむは、陽射しからビニールハウスを守るための「こも」が濡れてはいけないと、大慌てでそれらを外したのだが、直後に耳をつんざくような雷鳴に呼応して雹(ひょう)が降りだしたため、一転してまた一人、改めてハウスに「こも」を掛けなおさなければならなくなった。
家族の手助けのない中、炸裂するとどろきを相手に自分を励ましながら、蚕を守るための作業を終えた彼は、くたびれきった後にでもまだ湧いてくる力と誇らしさとを、自分の中に確認したのである。
苦手なものを前にしたとき、それを越えなければいけないと分かっているとき、自分の力がどれぐらいあるのか誰にも分かりません。また、困難に立ち向かうには、大きな勇気も必要です。
この本は、それをする誰かの頑張る姿を見せることで、そのような勇気への応援を与えてくれる一冊なのでしょう。
最上一平・文
遠藤てるよ・絵
薦めたい学年:2年生~3年生初
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