二人のほかには誰もいない春の海、おじいさんは孫娘に、渡り鳥の海の上での休み方について、「むかし、むかし、大むかし、じいちゃんが、まだ、ばあちゃんだったころに、きいた話」として語り始めた。
本来水面に浮かぶことのできる水鳥までがくわえて飛ぶという“とまり木”の小枝は、ながい旅の途中で飛ぶことのできなくなった哀しき鳥たちが、落として次へとつないだ〈いのち〉そのものだという。
渡りの季節を過ぎた春の海、波打ちぎわに寄せられた数多くの小枝の一つを手にしながら少女は、重みを感じ、自分の大切な一本を見つけたような気持ちになっていたのだった。
広く、私たちが何かの一部であることを感じさせてくれるお話です。
今村葦子・文
降矢なな・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 4
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