自分がされてイヤなことをしてくるようなあの人も、イヤなことを言ってくるこの人も、みんな石につまずいてころべばいいのに。と、そんな風に考えながら、初めこそ、頭の中に復讐方を描いたり、人を憎む自分、可哀想な自分の慰め方を浮かべたりしていた少女だったが、次第にその感情(イヤな気分)自体と向き合いはじめる。
・たとえるとしたら「とつぜんのどしゃぶり」みたいなものだろうか……
・お風呂に入ってスッキリするなら、それは体の外側につくものなのか……
・イヤな人の“イヤなところ”も一部かもしれない、理由があるのかもしれない……
・もしかしたら、人をイヤな気持ちにして喜ぶネガティブな何者かに、私がまんまと乗せられているだけなのかもしれない……
でも、そんな試[考]錯誤にも「それしかないわけないでしょう」。まだまだ様々に向き合い方はあるはずで、この先も考え続けて、イヤな気持ちに正しく対峙できるようになりたいと少女は思うのだった。
ヨシタケシンスケ・作
薦めたい学年:読み聞かせ Level 4
読み聞かせにかかった時間:8分
誰かキライな人がいる、何人かいる、そんなときに支えとなる聖人のような正解………ではなく、どのように向き合って“その時”を過ごせばより善いか、生き方・考え方・やり過ごし方を、豊富な例で示してくれるのが本書です。
もしも色々試しながら、あんなキライもこんなキライも乗り越えてみたら、いつか聖人のような正解が自分の生き方になっているなんてことがあったりして。
ものごとの“対象化”がテーマになっているため、発達段階に鑑み、小学校高学年以上を対象とせざるをえない難しさがあります。
しかしながら、正しく読み与えられれば、あるいは悩める大人にとっては、生きづらさを少しだけ解消するヒントになる、そんな一冊です。
今回の女の子は、誰の力も借りず、助けとなるような言葉ももらわず、進んだり立ち止まったりしながら、自分の周囲も内側もよく観察しながら、一人でひとまずのゴールまで歩きます。
こどもたちには難しいところもありますが、これはあくまでも“発想えほん”。少女が通ったヨシタケシンスケ流を真似るも、あえて自分流を探すも、読むあなたの自由なのです。「イヤ」を思いっきり考えてみましょう。
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