ひろったらっぱ

身寄りもなく貧しかった若者は、偉くなりたいと思い、西の方で起こっている戦争で手がらを立てようと考えた。
西に向かって乞食をしながら歩いた彼は、あるとき目覚めて手元にラッパを見つけたことから、戦場でラッパ手になることを決意するのだが、さらに歩みを進めるうち、戦争が人々を苦しめているのだと知ると、戦場へ行くよりも苦しむ者たちをラッパで元気づけて畑を元に戻すべく、皆を先導するようになった。
すると、人々も馬や牛と一緒に畑へ出てせっせと働くようになったので、まいた種からはやがて芽が出て、野原一面に麦の生るときが訪れたのだった。

新見南吉・文
鈴木靖将・絵

薦めたい学年:読み聞かせ Level 3
読み聞かせにかかった時間:7分

新美南吉は「ごんぎつね」「手袋を買いに」が日本の教科書会社全てで40年以上採用され続けているただ一人の作家です。
日本人なら新美南吉の名前を知らない人はいないと言えるほどの童話作家だということですね。
ラッパって、士気を発揚する行軍のための楽器にもなれば、もっと広く応援のため・楽しむためにも用いられるものですね。使い方次第。ここにも新見南吉のアイディアが光ります。


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