もっとおおきなたいほうを

先祖代々受け継いできた大砲を打ってみたくて仕方なかった王様のもとに、あるとき領内の川で勝手に魚捕りをするキツネがいるとの知らせが舞い込んでくると、彼は早速、脅しとばかりにキツネ目がけて大砲をぶっ放し、大満足した。
ところが、より大きな大砲を携えてキツネが戻ってきたことで競争がはじまり、いつの間にか数、取り回しやすさの他、形や色合いまでもが競われ、ついに王様はキツネを上回ることができなかったのだが、キツネの用意した大砲は、実はすべて木の葉だったのであった。
それを知った王様は、化かされ無駄に造り続けた大砲の数々を虚しく思うと、それらを真っ二つにして風呂に変え、二度と打ってみたいとは思わなくなったのだという。

「もっと~な○○」という言い回しで短い作文をしてもらう導入として、小学1年生に利用することもできます。
ところで、武器って、持っていたら、この王様のように使いたい気持ちが膨らんでしまうもののようですね。相手の持ち物を上回ろうとするのも、世界が繰り返してきたことです。この人間性が我々自身に与えてきた恩恵と害悪とは、二律背反。
人間が目を覚まし、世界が武器を捨てて、皆でバスタイムを共有できれば、平和なのでしょうね。

二見正直・作

薦めたい学年:読み聞かせ Level 0
読み聞かせにかかった時間:5分強


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